【QAあり】QDレーザ、2035年度の売上高100億円達成を目指す 独自技術を成長ドライバーに、光半導体分野のメジャープレイヤーへ
2026年3月期第2四半期決算説明に際して

大久保潔氏(以下、大久保):株式会社QDレーザ代表取締役社長の大久保です。よろしくお願いします。本日は2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
第2四半期は幅広いお客さまから受注をいただき、売上高は6億3,100万円で前年同期比13パーセントの増加となりました。営業利益は依然として赤字ですが、マイナス1億6,900万円と前年同期比で1億2,500万円の改善となりました。
レーザデバイス事業については、製品ごとに売上伸長のばらつきはあるものの、年間計画の達成に向けて順調に進捗していると考えています。
視覚情報デバイス事業では、年度初からB2B型およびB2B2C型事業への構造転換を進めており、国内外のお客さまと新たな取組みを開始しています。
大きなトピックとして、中小企業庁が実施している中小企業成長加速化補助金の申請を行い、今年9月に採択されました。この補助金に加え、今後10年間で売上を100億円にすることを目指す「100億宣言」という取組みも進めています。詳細については後ほどご説明します。
このような取組みを通じて、成長ビジョンの実現や企業価値の向上に向け、引き続き取り組んでいきます。
会社概要

大久保:まず、会社概要を簡潔にご説明します。当社は2006年に富士通研究所からスピンオフして設立された会社です。
2021年2月に、現在の東証グロース市場である東証マザーズ市場に上場しました。現在、従業員数は47名です。本社は神奈川県川崎市にあります。
事業内容は主に2つです。1つは半導体レーザデバイス事業です。通信、加工、センサ用の最先端の半導体レーザを開発・製造・販売する事業であり、当社独自の量子ドットレーザも扱っています。
もう1つは視覚情報デバイス事業です。当社が開発した網膜投影技術を使用した製品や光学ユニットといった部材を開発・製造・販売する事業を展開しています。
製品拡大の道のり

大久保:製品拡大の道のりについて簡単にご説明します。
ページの上段はレーザデバイス事業です。通信用の量子ドットレーザ、精密加工やセンサに使用するDFBレーザ、水準器やセンサなどに用いる高出力レーザ、バイオ検査などに使用する小型可視レーザといったものを主力製品として扱っています。
表の下段は視覚情報デバイス事業です。先ほどご説明した網膜投影技術を使った製品群をビジョンサポート、ビジョンヘルスケア、スマートグラス、XRグラスといった分野に製品や部材として提供する事業を展開しています。
QDレーザ|目指す姿

大久保:今回の決算説明資料では、私たちが目指す姿をあらためてお示ししました。
「人の可能性を照らせ。」という理念の実現もと、当社独自の技術を成長ドライバーとして活用し、最先端の光半導体デバイス・モジュール・応用製品の提供者として、グローバル顧客の技術パートナーとなることを掲げています。これにより、光半導体分野のメジャープレイヤーとなることを目指しています。
当社は、売上の伸びとともにお客さまの数も徐々に増えており、産業界を中心に確実に知名度が上がり、お客さまからの信頼をいただける立場になってきていると考えています。
この目指す姿に向けた取組みの継続と、さらなる追求により、この業界のメジャープレイヤーへと成長する決意を社内外に示しながら、気持ちを引き締めて取り組んでいきたいと思っています。
QDレーザ|事業計画の達成に向けた取組み

大久保:事業計画の達成に向けた取組みについてです。当社は昨年11月に中期経営計画を公表しており、その中で今期および来期に向けた事業計画についてご説明しています。
まず、2026年3月期の事業計画の進捗状況についてご説明します。
事業計画の進捗ですが、現在までに「74パーセント」を達成しています。この数字は第2四半期終了時点での売上と受注残の合計が年間計画に対してどの程度の進捗かを示したもので、前年、前々年と比較しても悪くない数字と考えています。
また、事業計画では大きな柱を2つ設定しています。1つ目が「安定した経営基盤の構築」、もう1つが「成長可能性の追求」です。これらの両方の実現により、大きな成長を目指すのが当社のビジョンです。
「安定した経営基盤の構築」では、上期の売上高が前年同期比で12.9パーセントの増加となりました。当社が目指している成長プランに対して順調に進んでいると考えています。
レーザデバイス事業では上期の売上高が5億8,000万円となり、上場以来の最高額を達成しました。視覚情報デバイス事業では現在事業構造の変革を進めている最中ですが、増収率は43.2パーセントとなり、順調に進んでいると考えています。
「成長可能性の追求」では、レーザデバイス事業において、中小企業成長加速化補助金を活用し、設備投資計画を加速させる方針です。
また、視覚情報デバイス事業では国内のお客さまとともに「網膜投影型XRグラス」の共同開発に引き続き取り組んでいます。こちらは非常に大きなポテンシャルを秘めた分野だと考えています。
このような取組みを通じて、2026年3月期の事業計画を着実に達成し、その上で全社目標である来期2027年3月期の全社黒字化を目指していきます。この目標に向けて、順調に布石を打てていると考えています。
レーザデバイス(LD)事業部|安定した経営基盤の構築

大久保:レーザデバイス事業についてです。こちらのスライドでは「安定した経営基盤の構築」に関連するものとして累積顧客数の伸びを示しています。第2四半期では16社の新しいお客さまが加わりました。
スライド右側の中段に記載のとおり、当社ではKPIとして認定顧客数を掲げていますが、今年9月時点で113社に到達しており、現時点での進捗としては順調な推移だと考えています。
「安定した経営基盤の構築」として、核となるのはレーザデバイス事業であり、これは当社の土台と言える事業です。この事業をさらに成長させていくことが重要です。
この観点で新製品の投入は非常に重要です。新製品としては、革新的な新しい製品もあれば、お客さまの求めるスペックに応じた小規模な改良品なども含まれますが、このような新しい製品を継続的に市場に投入することが重要であり、その開発を継続して進めています。
第2四半期は新製品の開発を推進しており、第4四半期までにはそのサンプルを完成させて、マーケティングを開始することを目指して取り組んでいます。
レーザデバイス(LD)事業部|成⻑可能性の追求

大久保:レーザデバイス事業に関する「成長可能性の追求」についてご説明します。当社は、量子ドットレーザが成長可能性を実現するための核と考えています。
現在、データセンター向けの需要が増大しており、データセンター向けの研究開発目的で当社の量子ドットレーザを購入しているお客さまは、今期で6社となっています。
当社では、そのうち1社か2社を量産化に結び付けたいと考えています。この分野は非常に高いポテンシャルがあると見ており、当社の成長可能性を実現する重要要素と考えています。具体的には、データセンターにおける半導体の光配線に関心を持つお客さまが量子ドットレーザを試用しています。
この量産化を実現するためには、いくつかの課題があります。1つ目は、お客さまの研究開発を量産化へと進めるため、求められるスペックに対応する製品を提供することです。「ここを微調整してほしい」といった要求はお客さまごとに異なるため、個別の対応が必要です。
2つ目は、量子ドットレーザ自体の性能向上を図ることです。これは、当社の研究開発に関わる課題です。スライドにも記載している、高出力化や多波長対応といった大きな開発目標に取り組む必要があります。このような挑戦を通じて量産受注の早期実現を目指していきます。
この取組みを加速するためには設備が非常に重要です。そのため、設備を増強することで、当社の開発スピードを加速できると考えています。
スライド下段に記載のとおり、第2四半期の取組みとして、中小企業成長加速化補助金を活用し、設備投資を加速する計画です。現在、その詳細について詰めている段階です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):量子ドットレーザの製造に関する設備投資計画について、このまま順調に進んだ場合のスケジュール感について教えてください。研究開発が関係して若干のずれが生じる可能性もあると思いますが、もう少し教えていただければと思います。
大久保:設備投資計画と関連する内容として、当社はセミファブレスという生産体制を採用しており、自社で製造している部分と外部に製造委託している部分があります。
外部に製造委託している部分については、委託先である協力会社の状況にもよりますが、比較的柔軟に規模を拡大することが可能と考えています。一方で、当社が自社で製造する部分の拡充が生産キャパシティに影響します。
今回、当社が自社で保有する設備をほぼ倍増することを目指しています。これにより、現在計画している「100億宣言」に基づく生産規模は、ほぼ達成可能です。
もちろんキャパシティの拡大だけで売上が上がるわけではありませんので、開発にも営業にも注力し、目標の実現に結びつけていきます。
坂本:設備投資の目的として、現在外部委託しているものをすべて内製化するわけではなく、もともと自社で生産している部分の強化を進めるという理解でよろしいでしょうか?
大久保:まさにそのとおりです。特に量子ドットレーザの製造は非常に難しく、当社のノウハウが集約されている部分ですが、これを自社設備で製造しています。その設備の増強を考えているものです。
レーザデバイス(LD)事業部|成⻑可能性の追求

大久保:量子ドットレーザやデータセンター、低消費電力、光配線などは、少しわかりにくい内容だと思いますので、こちらのスライドであらためてご説明したいと思います。
まず、データセンターと低消費電力とはいったい何なのかと疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。データセンターは、例えば私たちがスマホを使って情報を得る際に、データセンターとやり取りして、その情報がスマホに表示される訳です。
最近ではAIが登場し、みなさまもAIを活用したアプリをお使いになっていると思いますが、そのAIが動作するデータセンターの消費電力が非常に大きいことが、現在大きな問題となっています。
スライド右側にサーバーラックのイメージ図を掲載しています。これは玄関ドアほどの大きさなのですが、ここに最先端のAI用コンピュータやサーバーを設置すると、家数軒分の電力を消費してしまうことが問題視されています。
AIデータセンターの増設計画が進む中で、社会的に「これほどの電力消費が許容されるのか?」という批判があり、特にアメリカでは大きな議論となっています。
よってデータセンターの事業者側は、消費電力は削減したいものの、コンピュータやデータセンターの能力は落としたくないという事情があります。そのために、データセンターの処理速度を向上させながら、さらに低電力化を実現するためのさまざまなソリューションについて真剣に研究が行われています。
その中で、銅線の電気配線を光配線に置き換える技術革新が注目されています。多くの企業で研究が進められており、光配線技術はすでに一般的な議論の対象になっているものです。
当社へのお問い合せも、その中の最先端の技術開発に関連するものです。半導体チップの周囲ぎりぎりまで光配線へ置き換える取組みを進めている企業などからお声がけをいただいています。
スライド右下にはそのイメージ図を掲載しています。半導体チップは非常に高温になり、特にCPUやGPUなどのデータセンターの中でも最も肝となる頭脳の部分は大量の熱を放出します。
その近くでレーザを動作させるには高温環境下でも安定して動作するレーザが要求されますが、そこで量子ドットレーザの優位性が発揮されます。
量子ドットレーザは高温環境でも動作可能です。そのため、半導体チップに極限まで近い場所でも使用できるので、半導体メーカーをはじめとする当社のお客さまが注目しており、研究開発が真剣に進められています。その中で、当社製品も研究開発用として採用されている状況です。
お客さま側の研究開発と当社のより良いレーザ製品の提供が相互に進むことで、これらの技術の実用化が加速すると考えています。
坂本:仮にこの技術が実用化された場合、コスト面を含めたさまざまな課題があると思います。現状の見通しでは、どの程度電力消費を抑えられるものなのでしょうか?
大久保:さまざまな企業からさまざまな報告が出ていますが、3分の1から10分の1に削減できる可能性があると言われています。
坂本:それは電力コストも大幅に削減されることになりますね。
視覚情報デバイス(VID)事業部|事業の構造転換

大久保:続いて、視覚情報デバイス事業における事業構造転換についてご説明します。
当社は網膜投影技術を自社の中核技術として開発し、製品を展開してきました。昨年11月は中期経営計画を策定し、「安定した経営基盤の構築」および「成長可能性の追求」の2つの柱のもとに事業を分類した上で、それぞれに戦略を構築することから計画をスタートさせました。
そして、現在はスライドの中央に示したように、さらにこれらの取組をB2B2C型およびB2B型に転換する施策を進めています。これは今期の年度初から開始したものです。
さまざまな取組みが並行して進行しており、特に現在進んでいるものとして、海外顧客への網膜投影ユニット供給についての協議や、網膜投影ユニットを搭載した機器を日本で展開する協議などが挙げられます。
また、光学ユニットに関しては、レーザと光学系やMEMSを組み合わせたものについて産業用途への応用を検討しています。当社の技術を応用するもので、具体的な協議を開始しています。
「成長可能性の追求」にあたる取組みとして、国内のお客さまと「網膜投影型XRグラス」の共同開発を継続しており、現在も順調に進んでいます。
これらを踏まえ、注力領域と新規取組みを組み合わせながら、事業の構造転換を図りつつ、中期経営計画で掲げた視覚情報デバイス事業の黒字化を目指して取り組んでいます。
視覚情報デバイス(VID)事業部|事業の構造転換

大久保:具体的な進捗についてご説明します。
国内のお客さまとの「網膜投影型XRグラス」の共同開発および開発受託(NRE)の継続については、順調に進んでいます。スライド右側に小さな写真を掲示していますが、小型化や軽量化、性能向上など、さまざまなテーマに対して着実に取組みを進めている状況です。
海外のお客さまへの網膜投影機器のユニット提供については、現在、実務的な協議を進めています。
海外のお客さまの機器を日本で販売することについても議論が進んでいます。当社は、これまでに自社製の網膜投影機器を販売してきた経験がありますので、そのノウハウを活用して、海外のお客さまの機器の国内展開に取組みたい考えです。スライド右側にはそのイメージ写真を掲載しています。
産業用途向けの光学ユニット提案についても、具体的な会話を始めています。
さらに、当社のいくつかの技術について医療機器への活用の可能性についても議論しています。パートナーを探しながら、事業機会を探る取組みを進めています。
現時点では具体的な名前を公表できる段階には至っていませんが、取組先との具体的な会話が同時並行で進んでいます。できるだけ早くしっかりとした形あるものにし、成果をお示しできるようにしていきます。
坂本:事業の構造転換で収益改善を見込んでいるとのことですが、手応えのようなものがあれば教えてください。
大久保:本日は具体的にご説明することはできませんが、すでに具体的な相手がおり、具体的な条件について交渉を進めている段階です。これらをビジネスの形にしていきたいと考えています。
坂本:進捗に期待しています。
QDレーザ|成⻑に向けた今後の取組み

大久保:私たちは成長に向けてさまざまな課題に取り組んでいますが、さらに成長を進めるための布石についても考えていく必要があります。それをみなさまへのメッセージとして、こちらのスライドにまとめました。
まず、スライドの一番上に記載されている「100億宣言」と中小企業成長加速化補助金の採択についてです。こちらはすでにご説明しましたが、補助金を活用してレーザデバイス事業に関連する設備投資を加速させ、製品開発スピードの向上を目指しています。
ただし、下に括弧書きで記載しているとおり、かなり大規模な設備導入になりますので立ち上げには相応の時間がかかることを想定しています。量産への寄与は、2027年度以降になると考えています。
次に、経営基盤のさらなる強化に向けた施策についてです。提携や出資、M&Aなども積極的に検討して進めていきたいと考えています。ただし、取組みにあたっては闇雲に進めていくのではなく、スライドに記載している2点を重視します。
1つは「安定した経営基盤の構築」に資する取組みであることです。もう1つは、当社の技術力やビジネス経験を活かせる取組みであることです。この点を重視し、案件を選別しながら積極的に取り組んでいきます。
そして、イノベーションの加速、「テクノロジー×キャピタル」です。こう記載すると無計画に進めそうに見えるかもしれませんが、最大の優先事項は来期の黒字化です。キャッシュが回る事業体制を構築し、サステナブルな事業体として成長させていきます。
一方で、当社は技術企業ですので、テクノロジーを育成し、拡大していくことも重要です。技術をイノベーションとして確立し、ビジネスとして成り立たせるには、一定の投資が必要と考えています。それが次の成長を生み出すための手段にもなっていきますので、適切なキャピタルの投入を検討していきます。
QDレーザ|100億宣言

大久保:こちらのスライドでは「100億宣言」を掲げています。今年7月に中小企業庁のホームページで公表され、当社からも発表している内容ですが、その中身についてさらに詳しくご説明します。
「100億円宣言」は2035年度に売上高100億円の達成を目指すビジョンです。その柱となるのが、これまでご説明してきた「安定した経営基盤の構築」と「成長可能性の追求」の2つです。
「安定した経営基盤の構築」については、レーザデバイス事業のベースライン事業と視覚情報デバイス事業で、年平均11パーセントの売上成長を実現します。ベースライン事業とは、量子ドットレーザの量産化による大きな売上成長を除いた事業のことです。これにより、まず安定した経営基盤を構築します。
「成長可能性の追求」については、先ほどご説明した量子ドットレーザ関連の事業です。こちらはグローバルの大手顧客1社、2社からの量産受注を目指します。
現在取組を進めているお客さまはグローバル大手企業が含まれており、この規模のお客さま方からの量産受注は、当社に非常に大きな収益インパクトをもたらします。これを実現することで、2035年の売上高100億円の達成を目指して取り組んでいきたいと考えています。
スライドの下部には時間軸を示した簡単な概念図があります。まずは来期の全社黒字化を達成します。その後、2028年度には量子ドットレーザの量産が徐々に始まると想定しており、これらを積み上げることで2035年には売上高100億円を達成します。
坂本:2035年度に売上高100億円達成するビジョンについてご説明いただきましたが、現在の売上高から考えると相当な成長率が必要だと思います。
2028年から量子ドットレーザを本格的に生産するマイルストーンを掲げられていますが、2028年度から2035年度までの具体的なシナリオやトピックなどはありますか? 視聴者もイメージが湧きやすくなると思います。
大久保:「安定した経営基盤の構築」は、まさに当社が毎年取り組んでいることです。視覚情報デバイス事業については、事業の構造転換を進めています。このように、現在布石を打っている施策が具体的な形になっていくことで、その取組みが来期以降の事業の柱となっていきます。
また、レーザデバイス事業は元よりB2B型ですが、視覚情報デバイス事業も同様に、B2B型へ大きくシフトしていく考えです。やはり企業のお客さまと明確な目標を設定し、製品を作って販売していくことは、高い確度で事業の構築が可能だろうとの期待を持っています。
そのような中で、2桁成長を継続していくことはややアグレッシブに見えるかもしれません。しかし、実際には私たちの現行の取組みをさらにスケールアップできると考えていますし、そのための改善の余地も見つけることができると思っています。それを継続することで、確実な成果を出せると確信しています。
そのような意味で、当社のビジョンに立ち戻ることになりますが、お客さまにとって重要な部材を供給するサプライヤーになっていますので、このポジションに居続けられるように努力することが必要だと考えています。
このような取組みを続けていきますので、おそらく「安定した経営基盤を築く」過程では派手なマイルストーン達成を示すことよりも、多岐にわたる事業ポートフォリオの中で着実に数字を積み上げていくことが進捗を示す最大の経過説明になるのではないかと思います。
坂本:まとめのような質問になってしまいますが、最近AIが爆発的に発展していることについて触れたいと思います。
この分野の成長性については私も15年ほど前から予測していたことですが、1つの基礎技術が浸透すると、その結果として爆発的に新しいサービスが生まれる構図があります。
そのような観点で見ると、個人的には御社の高精度なレーザ技術は最先端であるがゆえに、今後さまざまな技術の発展とともに利用されていく性質のものではないかと感じられます。
例えば、データセンターの分野でもレーザが多用されるような未来が考えられると思います。2028年以降、技術革新によってレーザ技術がさらに広く活用される可能性があるのか、ご意見をうかがいたいです。
大久保:量子ドットレーザの技術については強みと弱みがかなり明確です。高温で動作するという明確な強みがありますので、創業以来その優位性を活かせるアプリケーションの探索を続けています。
量子ドットレーザは非常にユニークな技術であり、根源的な物理現象で差別化できる製品ですので、量子ドットレーザの応用領域を探索し続けてきたとも言えると思います。
最近のお客さまとお話をする中で、彼らも量子ドットレーザをしっかりと研究したいと思っており、データセンターが量子ドットレーザを活かせる領域だと真剣に考えていることがわかりました。
AIやその周辺技術を考えると今私たちは非常に大きな技術的変化の中にいますが、当社のような規模の企業は、変化の中で勝負することが重要だと思っています。
既存の市場に新規参入するのは難しい一方で、変化する市場でユニークな特性を活かせば、大きく成長できる可能性があります。今がまさに勝負の時期だと考えています。
さらに、お客さまにはグローバル大手企業が含まれていますので、これは絶対に勝負すべきだと思っています。
坂本:それが順調に進んでいくことで、売上高100億円の達成も可能になってくるということですね。
大久保:この実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
業績ハイライト

大久保:ここからは業績ハイライトとして、今期の実績についてご説明します。
売上高は、レーザデバイス事業、視覚情報デバイス事業、全社すべてにおいて、前年同期比で上向いています。
冒頭でもご説明したとおり、レーザデバイス事業は前年同期比11パーセント増、視覚情報デバイス事業は43パーセント増となり、全社では13パーセント増となりました。
業績ハイライト

大久保:続いて収益についてです。全社としてはまだ営業損失の状態ではありますが、すべての矢印が上向きになっています。
全社では前年同期比43パーセント増となり、1億2,500万円の改善となりました。レーザデバイス事業が営業利益のプラスを牽引しており、前年同期比35パーセント増となる9,700万円と進捗しています。
スライド下段は経常損失と半期純損失です。いずれも前年同期比で1億4,000万円の改善という結果になりました。
業績ハイライト

大久保:こちらのスライドには、今ご説明した内容の詳細を掲載しています。スライド右側には主要製品群別の売上サマリーを記載しています。
今期は製品毎にややばらつきが見られる状況です。個別の説明は次のスライド以降で簡単に触れますが、まだらな状況である一方で、製品ポートフォリオが分散していることが安定した売上獲得につながっており、全社でプラスの結果となっています。
視覚情報デバイス事業についてはまさに構造転換の只中であり、今期は開発受託の売上を計上しています。この構造転換の布石を着実に形にして、確実に数字が出せるように取り組んでいきたいと考えています。
貸借対照表

大久保:貸借対照表です。損失の影響により、2025年3月期末比で総資産は2億3,400万円のマイナスとなっています。
キャッシュフロー

大久保:キャッシュフローにつきまして、現金及び現金同等物残高は、前年同期末比で5億4,400万円のマイナスとなっています。
受注状況

大久保:受注状況についてです。現在、売上高実績と受注残高の合計が年間想定売上高の74パーセントに達しています。これは過去2期と比べても高い進捗率だと考えています。
DFBレーザ:売上高

大久保:各個別の製品についてです。DFBレーザは産業によってさまざまな違いがあります。
当社の主力製品として幅広い産業界に販売していますが、業界によって大きな差が生じることになりました。今期は特に計測用光源、半導体ウエハプロセス関連が大きく伸び、売上を牽引しています。
小型可視レーザ:売上高

大久保:小型可視レーザは大口のお客さまの在庫調整の影響を受け、やや伸び悩んでいますが、年度を通じて挽回していきたいと考えています。
高出力レーザ:売上高

大久保:一方、高出力レーザではすべての分野でプラスになっています。具体的には、建設・DIY用水準器、半導体工場用センサ、マシンビジョンなどにおいて全面的にプラスに向かっており、この順調な流れを継続していきたいと思っています。
量子ドットレーザ:売上高

大久保:量子ドットレーザは研究開発用途の受注であるため、定期的では無く、受注がまだらに発生する傾向があります。ただし、注目度が大きく上がっている中で、今期は前年同期比136パーセントという好調な数字となりました。
視覚情報デバイス(VID):売上高その他中期経営計画進捗

大久保:次に視覚情報デバイス事業では、売上構成として開発受託が今期の数字の中心となっています。事業の構造転換を進めている最中であり、その中での数字となります。ここでしっかりと事業転換の布石を打つことが来期の数字につながると考えており、全力で取り組んでいます。
2026年3月期予想

大久保:こちらのスライドは、今期の事業計画におけるKPIなどの抜粋です。中期経営計画に掲げた来期の数字ですが、本日は説明を割愛します。私からのご説明は以上です。
質疑応答:補助金を活用した設備投資の配分について
荒井沙織氏(以下、荒井
新着ログ
「電気機器」のログ





